地質リスク・エンジニア(GRE)養成講座
   
 2017年度養成講座の開催要領です。
地質リスク・エンジニア(GRE) 養成講座
[養成講座]
 地質調査業としては、今後、これまでに得られた「地質リスク」に関する成果を実務に展開し、地質調査の新しい領域を創造するとともに従来の地質調査を深化させることが重要であり、また、責務であると考えます。 そして、これは、単に地質調査業の利益に適うだけはなく、地質リスクに起因する事業損失を地質技術力とマネジメント力の投入により回避・予防・低減するものであり、社会的に見ても極めて公益性の高いものだと思います。
 このためには、地質に関する高度な技術を持ち、かつ、マネジメント力を有する技術者を相当数養成し、地方公共団体を含め全国展開を図ることが必要です。 さらに、養成にあたっては、契約制度を含む公共調達市場に関する知識と理解を学ぶ必要があります。 そこで、当地質活用機構では、地質リスク学会と(社)全国地質調査業協会連合会の支援を得て標記養成講座を開催します。
 講座の詳細なプログラムは別紙の通りで、「地質リスク」に関する項目のほか、実務に役立つ次のような内容が含まれます。
 ◆地質リスクマネジメントとは(概念と意義)
 ◆地質リスクマネジメントの投資効果とその計量化並びに評価手法
 ◆地質リスクを反映した地質調査業務の領域
   ・技術顧問(発注者との契約に基づく技術指導)
   ・CM方式への専門家としての参加
   ・地質リスク調査検討業務(プロポーザル方式による契約)
   ・地質調査計画策定業務(プロポーザル方式による契約)
   ・地質調査業務受注後の調査計画の変更提案(契約書に基づく)
   ・地質リスクを意識した成果物の作成(通常業務)
 ◆公共調達市場の特性、業者選定方式、契約制度
 ◆地質リスクにおける発注者責任と受注者の果たすべき責任の範囲
 ◆地質リスクに関わる技術者に必要な資質と知識(技術者倫理、技術力、マネジメント力等)
 ◆地質調査業の成り立ちと将来を見据えた新たな視点
 ◆参加者の経験に基づく演習
 本講座は、当面、少人数を対象にゼミナール形式で開講しますが、今後、必要に応じ養成方法を多様化することも検討してまいります。
 また、講座の受講修了者を「地質リスク学会」から「GRE」として認定していただいておりますが、現時点で、資格とすることは考えておりません。
地質リスク・エンジニア(GRE)養成講座の概要
主  催: 特定非営利活動法人 地質情報整備活用機構(GUPI)
協  力: 一般社団法人全国地質調査業協会連合会(JGCA)
認定団体: 地質リスク学会
受講要件:年度により多少異なりますが,基本的に以下2つの要件を備えた方です。
  1. 以下のいずれかに該当する方
     ・過去に開催された地質リスク学会主催「地質リスクマネジメント事例研究発表会」において既に発表された方
     ・過去に開催された地質リスク学会主催「地質リスクマネジメント事例研究発表会」において既に発表された方が提出した発表論文の共同執筆者の方
     ・当該年度に開催される地質リスク学会主催「地質リスクマネジメント事例研究発表会」*1で発表される方
       [*1:平成29年度は11月30日に開催予定、平成28年度は11月28日でした。]
     ・「総合技術監理部門」の関連分野の技術士
     ・発注者、教育機関が推薦*2する中核的技術者もしくは中核技術者として期待する方
       [*2:発注者、教育機関からの推薦状(形式任意)が必要となります。]
  2. 講座開始までに以下について事前の準備ができる方
     ① 関係資料の事前学習を行える方
       指定された関係資料*3を講座開催前までに読んでおくこと。
       *3: 『地質リスクマネジメント入門』、「過去の事例研究発表会の発表事例」及び「e-Learningによる講習」など
     ② 講座で実施する演習課題について準備すること。 
  応募先・お問合せ先
    特定非営利活動法人地質情報整備活用機構 〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-5-13 内神田TKビル3階
    TEL. 03-6689-5353  FAX: 03-3518-4901
    e-mail:office_to@gupi.jp (@を@ に変更してください)   *お問合せは、できるだけe-mailでお願いします。
カリキュラム 講 義 内 容
Ⅰ.地質リスクマネジメント概要 [全地連のe-learning講座で事前に受講するものとする
講義1
 地質リスクマネジメント(総説)
1.1 地質リスクとは -その概念と意義-
1.2 マネジメントとは
1.3 地質リスクをマネジメントする -発注者と受注者の役割-
1.4 専門家の活用とGRE の認定
1.5 地質リスクの取組み経緯
  
講義2
 地質事象の把握における
 不確実性と地質リスクの類型化
2.1 はじめに
2.2 地質事象の把握における不確実性と地質リスク
2.3 地質リスクマネジメントの事例区分と効果の計量化における各種費用の概念
2.4 地質リスクマネジメント事例研究の成果と意義
 
講義5
 地質調査業における
 地質リスクの意義と活用
3.1 地質調査業の成り立ちと将来を見据え今考えるべきこと
3.2 公共調達市場の特性と制度
3.3 地質リスクの活用に向けて
  
第1日目 2017年(平成29年)6月22日 午前8時30分集合
Ⅱ.技術顧問契約 (6/22) 9:00~17:00
オリエンテーション
        09:00~09:15 
講座の進め方について 事務局
講義概説   09:15~10:00 地質リスクマネジメント(概説) 小笠原
講義4    10:00~11:00
 GBR(ジオテクニカル・
     ベースライン・レポート)
4.1 GBR とは
4.2 ベースライン
4.3 海外における適用事例
4.4 国内への適用性
講義6    11:10~12:00
        13:00~13:50
        14:00~14:50
 技術顧問の調査・設計・工事・
 維持管理各段階における技術
 支援
6.1 共通事項
6.2 基本計画および地質調査業務の支援のポイント
6.3 設計業務の支援のポイント
6.4 工事契約の支援のポイント
6.5 工事の設計変更支援のポイント
6.6 維持管理事業への支援のポイント
6.7 斜面安定対策業務の支援のポイント
6.1 6.2 6.3 
    仲田・小田部
6.4 6.5
    西柳、渡辺
6.6 6.7
    梅本
講義5    15:00~16:15
 技術顧問の意義と役割
5.1 技術顧問の位置づけ
5.2 地質技術顧問の業務
5.3 地質技術顧問の契約標準
渡邊
 演習について  16:15~17:00  「Ⅲ.事例演習」の実施方法について  黛・小笠原
懇 親 会 17:00~18:30
Ⅲ.事例演習 (6/23) 9:00~16:00
演習(1)   9:00~12:00
 GBR 作成(講義4に対応)
・受講者の個々の発表事例をもとに
 (1) GBR の作成
・ベースライン項目と基準設定
 (2)発表
 黛
(小田部、梅本、渡辺、
 小笠原、仲田、西柳)
演習(2)   13:00~15:00
 GREの業務展開
 (講義3、講義5に対応)
・受講者の発表と討論
 (課題は、事前に講師より提示します。)
 小笠原
(黛、小田部、梅本、
渡辺、仲田、西柳)
まとめ    15:15~15:45
 総括討議
・参加者との意見交換  同上
履修証明書授与 15:45~16:00
カリキュラム 講 義 内 容
Ⅰ.地質リスクマネジメント概要 (6/22) 13:00~18:30
オリエンテーション
13:00~13:10
講座の進め方について 事務局
 講義1  13:10~14:00
 地質リスクマネジメント(総説)
1.1 地質リスクとは -その概念と意義-
1.2 マネジメントとは
1.3 地質リスクをマネジメントする -発注者と受注者の役割-
1.4 専門家の活用とGRE の認定
1.5 地質リスクの取組み経緯


 小笠原
講義2  14:10~15:10
 地質事象の把握における
 不確実性と地質リスクの類型化
2.1 はじめに
2.2 地質事象の把握における不確実性と地質リスク
2.3 地質リスクマネジメントの事例区分と効果の計量化における各種費用の概念
2.4 地質リスクマネジメント事例研究の成果と意義

 小笠原
講義5 15:20~16:50
 技術顧問の意義と役割
5.1 技術顧問の位置づけ
5.2 地質技術顧問の業務
5.3 地質技術顧問の契約標準
 
渡 邊
懇 親 会 17:00~18:30
Ⅱ.技術顧問契約 (6/23) 9:00~17:00
講義3 09:00~10:45
 地質調査業における
 地質リスクの意義と活用
3.1 地質調査業の成り立ちと将来を見据え今考えるべきこと
3.2 公共調達市場の特性と制度
3.3 地質リスクの活用に向けて

矢 島
講義4 11:00~12:00
 GBR(ジオテクニカル・
 ベースライン・レポート)
4.1 GBR とは
4.2 ベースライン
4.3 海外における適用事例
4.4 国内への適用性

講義6 13:00~16:00
 技術顧問の調査・設計・工事・
 維持管理各段階における技術
 支援
6.1 共通事項
6.2 基本計画および地質調査業務の支援のポイント
6.3 設計業務の支援のポイント
6.4 工事契約の支援のポイント
6.5 工事の設計変更支援のポイント
6.6 維持管理事業への支援のポイント
6.7 斜面安定対策業務の支援のポイント
6.1 6.2 6.3 小田部

6.4 6.5 渡 邊

6.6 6.7 梅 本
 演習について  16:00~17:00  「Ⅲ.事例演習」の実施方法について  黛
Ⅲ.事例演習 (6/24) 9:00~16:00
演習(1) 9:00~12:00
 GBR 作成(講義4に対応)
・受講者の個々の発表事例をもとに
 (1) GBR の作成
・ベースライン項目と基準設定
 (2)発表
 黛
(小田部、梅本、
      渡邊、矢島)
演習(2) 13:00~15:00
 GREの業務展開
 (講義3、講義5に対応)
・受講者の発表と討論
 (課題は、事前に講師より提示します。)
 矢島
(小笠原、黛、小田部、
       梅本、渡邊)
まとめ 15:15~15:45
 総括討議
・参加者との意見交換   矢島
履修証明書授与 15:45~16:00
■講師陣について
渡邊 法美   地質リスク学会 会長(高知工科大学 教授)
小笠原 正継  地質リスク学会 副会長((国立研究開発法人)産業技術総合研究所 客員研究員)
黛    廣志  地質リスク学会 専門委員会 委員 / NPO 地質情報整備活用機構 人材育成担当
小田部 雄二  地質リスク学会 専門委員会 委員
渡辺  寛   地質リスク学会 専門委員会 委員(2017年度)
梅本 和裕   地質リスク学会 専門委員会 委員
仲田 寛雄  (一社)全国地質調査業協会連合会 地質リスクWG(2017年度)
西柳 良平  (一社)全国地質調査業協会連合会 地質リスクWG(2017年度)
[特別講師]
矢島 壯一 (社)全国地質調査業協会連合会 元専務理事(~2016年度)
■履修証明書について
 全課程の履修者には、履修証明書を授与します。 また、履修者は、地質リスク学会が別途定めるGRE認定制度へ申請できる資格者となります。

     (NPO)GUPI 主催    →  地質リスク学会主催               ホームページに
  GRE養成講座履修者   →  GRE認定申請・論文審査・認定書発行 ⇒ 「認定者名簿」掲載

※平成28年度末には、全国で43名(本講座履修者)が地質リスク・エンジニアとして地質リスク学会から認定されています。
参 考 資 料  GRE養成講座とGRE認定制度について
1. 地質リスクマネジメントの必要性
  ○地質リスク(地質に係る事業リスクとその不確実性)のマネジメント
  ○地質リスクの事後対応(緑)から予防保全(赤)へ。赤をマネジメントという。
  ○あらゆる悲観的リスクを抽出し、一つ一つ対応してリスクを下げながら事業段階を進める。
  ○高い技術力とマネジメント力(with と without の差を最大化する能力)を有する技術者の投入。
  ○投資効果の証明
2. 地質リスクマネジメント専門家の重要性
 ○事業リスク(不確実性)の大きい領域は発注者責任。不確実性を小さくしてから業者に発注。
 ○高い技術力を有する技術者は業者側に多いが、これを発注者側で働かせるためには「ポスト」が必要。
 ○ポスト(立場)を技術顧問として用意する。
 ○技術顧問への投資効果は計量して公表すべき。
3. 地質リスク学会の活動
 ○目的:マネジメント理論の研究
  ・地質リスクを「マネジメント」するための学術理論の研究
 ○事例研究発表会の開催
  ・事例研究の普及(地質技術産業界(産官学)へのPR)
  ・A(成功)、B(失敗)、C(リスク最小化)、D型(その他)のマネジメントタイプの事例収集
  ・マネジメントとは、地質技術を投入することによる地質リスクの予防・軽減・保全
  ・マネジメントの投資効果は、with と without の差
 ○学術研究の場の提供
  ・事例研究をもとにリスクマネジメントを学術的に研究する委員会の設置

4. GRE養成講座・GRE認定制度の実施体制
 養成講座主催: NPO 地質情報整備活用機構
 認定制度主催: 地質リスク学会
 養成講座受講者要件: 技術的に高い水準(地質リスクマネジメント事例研究発表会での発表経験者)
 GREの特徴: 高い地質技術力に加えてマネジメント力を具備すること
 GRE認定者の役割: 地域のキーパーソンとして地質リスクマネジメントを実施・普及する。
5. GRE活用の見通し
 ○(公共)施設の調査・計画・設計・施工、および防災・維持管理には高度な技術力とマネジメント力を有する技術者が発注者の側にたって活動する必要があるが、
  その(最低限の)品質を証明するものが求められる。
 ○あらゆる分野で「資格」が求められる中で「地質技術産業部門」がいち早く「認定制度」を打ち出せば発注者にとって心強い。
  H26年度から実施の「地質リスク調査検討業務」にも適用。
 ○CM.技術顧問といった発注者の体制強化策が進む中で「地質部門」の切り札になる。
 ○先ずGRE資格を発行し、GREの活動実績から「地質技術顧問」の「制度」作りを行う。