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【事務局報告】
日本の奇岩百景の登録が92に
 2015年10月末の理事会(電子)で,下記の3奇岩の登録が承認されました。これにより,合計92奇岩が登録されたことになります。
・登録番号:90
・奇岩名称:猿岩(さるいわ)
・所 在 地:長崎県壱岐市郷ノ浦町
・類  型:その他(動物)
・謂 わ れ:壱岐島の西部、黒崎に分布する玄武岩の海蝕崖の一部が、そっぽを向いた猿にそっくりなため、猿岩と称されています。 壱岐観光ナビでは「気まぐれな自然の造形・・・」。
 ⇒ 公開ページはこちら
・登録番号:91
・奇岩名称:イズら(いずら)
・所 在 地:静岡県西伊豆町
・類  型:怪獣
・謂 わ れ:日本の夕日百選にも選ばれている「大田子海岸」からは、怪獣ゴジラに良く似ているために名付けられた「イズら」が、悠々と海を泳いでいるように見ることができます。写真にも写っているように、奇岩の上の部分・・・。
 ⇒ 公開ページはこちら
・登録番号:92
・奇岩名称:亀岩(かめいわ)
・所 在 地:静岡県西伊豆町
・類  型:その他(動物)
・謂 わ れ:堂ヶ島の代表的なジオサイトの1つで、亀の背の部分まで徒歩で行けるので観光客に人気のスポットとなっています。甲羅の上に立つと、海に引き込まれそうな感覚・・・・。
 ⇒ 公開ページはこちら
これら各奇岩の情報は以下のURLからご覧ください。
http://www.web-gis.jp/kigan100.html

左図は,奇岩の分布状況です。 東北地方,瀬戸内海周辺や種子島・屋久島以南が空白域となっています。
「これは!」という奇岩があれば是非ご推薦ください。
応募先は上記URLに同じです。
【紹 介】
カシミール3D スーパー地形セット
地形図や地形断面図,更には地形鳥瞰図などを自由に描画することのできるフリーソフトとして,永らく使用されてきたカシミール3D(KASHMIR 3D)に,この程国土地理院の基盤地図情報をベースにした5mメッシュの高密度地形データが使用できるようになりました。
「スーパー地形セット」と言うこのプラグインは,一年間の有料ライセンス制(\1,980/年)ですが,以下のような機能が付与されています(作者のウェブページより)。
  ・日本全国をカバーする5mDEMデータが使用可能(未整備なところは10mDEMデータを補間)
  ・5mDEMと国土地理院の地図と空中写真を組み合わせて使用可能
  ・5mDEMの地形表現上に,ユーザーの地図や写真をオーバーレイ可能

編集者が試用した結果を以下に例示します。
(1)地形表現例

                   (左2葉)10mDEMによる従来の地形表現。(上)沼田市郊外。(下)勝沼町
                   (右2葉) 5mDEMによる新しい地形表現。(上)沼田市郊外。(下)勝沼町
 5mDEMを利用した「陰影図」によって,地形変化をより細かく読み取ることができるようになる,という例です。
 また,標高段彩図(色別標高図)の色使いや陰影の付け方(太陽の方向など)を丁寧に行うことにより,沖積錐(扇状地)などを明瞭に表すことができるようになり,更に,傾斜量図などもより詳細な地形変化を捉えるようになると考えられます。   [図をクリックすると拡大します]
(2)3D表現例その1
 下図に示す2例は,「カシバード」という3Dビューア機能を使って作成した陰影図です。
 下図の上2葉は,鳥海山の火山砕屑流の部分ですが,崩壊した火砕流の跡がきれいに表現されていることがわかります。 また,下図(上の右)には自動車道路(鳥海ブルーライン)すら表現されています。
 下図の下2葉は,横浜市西区の急傾斜地に造成された住宅街です。 標高/水平距離=2で描画しましたが,ものすごいところに住宅が建っているなぁ,というのが率直な感想です。   [図をクリックすると拡大します]

            (左2葉)10mDEMによる従来の地形表現。  (上)鳥海山北部斜面。 (下)横浜市西区
            (右2葉) 5mDEMによる新しい地形表現。   (上)鳥海山北部斜面。 (下)横浜市西区
(3)3D表現例その2
 下図は,10DEMと5mDEMデータに工学的地質平面図をテクスチャとして貼り付けた結果です。
 カシミール3Dでは,ユーザーが独自に用意した地図や空中写真を利用することができますが,5mDEMにも対応していることがわかりました。
 ダム建設などの事業計画を議会や住民に説明する際に,有効な手段になると考えられます。   [図をクリックすると拡大します]

            某ダムサイト地質図。 (左)10mDEMによる従来の3D表現。(右) 5mDEMによる新しい3D表現。
(4)5mDEMのメリット
 国土地理院では,10mDEMデータと5mDEMデータの違いは以下のように説明しています。
  ・10mDEM:1/25,000地形図の等高線データ等を基に作成した基盤地図情報(数値標高モデル)
  ・5mDEM :地表を5m間隔で区切った方眼(メッシュ)中心点の標高を、航空レーザ測量によって取得したデータをもとに、家屋や橋、樹木等を取り除き作成したより詳細な地表面データ
 すなわち,10mDEMデータは等高線から読み取って補間したデータ,5mDEMは直接測定したデータと言うことになります。
 以下の図は,鹿児島県南部の海岸線を比較したものですが,10mDEMの海岸線に出現している「階段状地形(10mDEMによる誤差)」が明らかに改善されていることがわかります。
 また,人家のある所は「高取」と記された田の部分より一段高い所にあることや「武道館」の左を流れる小河川は意外と急な河岸を持っている,というようなこともわかります。
 1/25,000地形図だけから地形の特徴を見極める,という地形判読技術は過去の遺産になりつつあるような気がしますが,いかがでしょうか?。

             (左)10mDEMによる従来の表現。  (右) 5mDEMによる新しい表現。   [図をクリックすると拡大します]
【第一部会報告】
ボーリング柱状図と地質断面図の3D表現
 (一社)全国地質調査業協会連合会では,「CIM対応3D地盤モデル検討委員会」を設立して地質や地盤データの三次元表現方法について研究を進めており,当機構はその活動を支援するためのウェブサイトを構築しました。
 このサイトは,現在限定公開のため詳細を報告できませんが,その過程で作成した試作版の一部をご紹介致します。
 当機構が事務局を務めている「「こうち地盤情報公開サイト」では,ボーリング交換用データと二次元地質断面図が二次利用許諾付きで公開されています。 ここで紹介する図は,それを利用して作成しました。
(1)3D表現例
 下図は,ボーリングデータをバーチャル円柱で表現し,地質断面図に3D空間座標値(平面直角座標値と標高)を与えて,垂直のバーチャル長方形で表現しました。   [図をクリックすると拡大します]

 使用した技術は「vrml」という今は殆ど化石化したものですが,この程度の3D表現には十分利用できます。以下は,作成方法の概要で,いずれソースコードを公開する予定です。
  ・バーチャル円柱:ボーリング孔口の平面直角座標値,標高,掘削深さと円柱の直径を与え,別途作成しておいた柱状図記号のイメージをテクスチャとして貼り込んで作成する。
  ・バーチャル長方形:地質断面図(イメージ)から必要な部分を切りだし,空間の部分を透明化する。四隅の座標値(平面直角座標値と標高)を読み取って長方形を形成し,切り取った地質断面図(イメージ)をテクスチャとして貼り込む。
(2)3D表現のメリットその1
 下図は,2本の地質断面図がほぼ直交している部分です。 図左は地質断面線の位置座標が正しく設定されている場合,図中と図右はそれぞれずれている場合の例です。
 地質の連続性を極めて容易に確認することができる(視認性に優れている)ため,複数の地質断面図に相互矛盾がないかを調べる手段として有効であると考えられます。

                   (左)正しい座標値 (中)誤った座標値その1 (中)誤った座標値その2
(3)3D表現のメリットその2
 地質断面図の中に表現される柱状図は「投影」のため,その位置は断面線からある程度離れていることが多いのが現状ですが,普通に地質断面図を見ている限り,その離れを意識することは困難です。
 左図(左,右)は,ボーリング柱状図と地質断面図を3D表現した結果です。 断面図に描画されている簡易柱状図をバーチャル円柱で表現してみました。
 左図(右)は断面図を真横から見ていますが,これによりこのボーリングが地質断面図から相当程度離れていることが視覚的にわかるので,断面図を利用する場合の適用限界などを予め理解することができるでしょう。
 ※投影したボーリング柱状図を使用して作成した地質断面図は,水平的にズレ(左の赤線の距離)が生じているため,断面線の直下を掘削した場合両者が合致しないことがあり得ます。
 地質断面図があるからと行って,ボーリング調査を省略してはいけません。
【編集後記】

明けましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願い致します。
今年の冬は暖冬気味,との予報が出ていますが,皆様どうぞお体をご自愛くださいませ。