各地でジオパークの講演会・等
 7月16日に山陰海岸でジオパークの講演会があったことはNewsletter No.51でお知らせいたしましたが、その後も各地で講演会が行われました。
 8月20日雲仙災害記念館開館5周年記念講演会「日本におけるジオパーク認定第一号を目指して!」が開かれました。長崎大学教育学部長岡信治准教授「島原半島の火山と活断層」・GUPI岩松暉会長「雲仙火山とジオパーク」・長崎県教育センター寺井邦久主任指導主事「島原半島の地質的な見所」の 3つ の講演がありました。高校教諭を長らくやっておられた寺井先生のお話が一番わかりやすくダントツでした。また、現地に長く勤務しておられたためもあって、写真も一番良い季節の晴れた日に撮影されたすばらしものばかりでした。
 なお、この講演会に先立って、「日本の地質百選」の伝達式があり、地元マスコミに披露されました。懇親会のシメで、南島原市岩本公明副市長が、「島原半島は一つと口では言うが、実際は一つ一つだ。このジオパークは本当に一つになれる絶好のテーマだと思う」とご挨拶されたのが、印象に残りました。
 9月6~7日は全地連技術e-フォーラムが、9~11日には地質学会がいずれも札幌で開かれました。札幌駅のコンコースや地質情報展および全地連のブースで地質百選とジオパークについて展示が行われました。7日には全地連フォーラムの特別企画として北川健司遠軽町長による「白滝黒曜石遺跡ジオパーク構想について」と題する講演もありました。
 9月10日には地質学会札幌大会市民講演会「地質遺産の活用でまちおこし-ジオパークの試み-」が開かれました。北大理学部講堂が一杯になるほど盛況でした。最初に産総研佃榮吉センター長からジオパークについて概略の紹介があった後、北海道大学岡田弘名誉教授の特別講演「洞爺湖・有珠山ジオパークの魅力―活発な地球を学び親しもう」がありました。また、事例紹介として、白滝黒曜石遺跡や様似町アポイ岳など、道内各地の取り組みも紹介されました。
 11日にはジオパークの夜間小集会も開かれました。博物館学芸員の方々がたくさん集まってくださいました。ジオパークには各地の博物館も大いに協力すると約束してくださいました。
 これに先立って、8月31日には洞爺湖フォーラムが開かれましたが、産総研佃センター長からご寄稿いただきましたので、次項をご覧ください。
 なお、日本の地質百選についての新聞報道が相次いでいることはNewsletter No.50でご紹介しましたが、ジオパークについても各地の新聞で報じられています。地質学会のジオパークのウェブサイトをご覧ください。このサイトはGUPIが作成を担当しています。

 
 

ジオパークへ燃える有珠山・洞爺湖地域
佃 榮吉*
 洞爺湖周辺地域エコミュージアム推進協議会主催による「ジオパーク構想と洞爺湖地域エコミュージアム」と題するフォーラムが、8月31日夜にこの夏に完成した環境省の洞爺湖ビジターセンターにおいて開催され、日本地質学会ジオパーク設立推進委員会として、ジオパーク活動の最近の動向などについて講演した。この講演に先立っては、中山 獏壮瞥町長、工藤圀夫豊浦町長、長崎良夫洞爺湖町町長、北海道胆振支庁、環境省自然環境局、北海道森林管理局の方々から、ジオパークへの期待をこめた挨拶があった。最近の活動として、多くの自治体関係者の参加を得て5月に行った地球惑星連合大会でのジオパーク特別セッションの開催、地質ニュースのジオパーク特集号の出版、「ジオパークとジオツーリズム」のパンフレットの作成など、最近の活動を紹介した。さらに、多くの関係者の関心の深い、ジオパークを設立するための必要な活動、手続き、などについても紹介した。最後に、来年の国連国際惑星地球年(IYPE2008)に同調して5月10日を「地質の日」とする活動も、「地質百選」との連携もとって、大いに盛り上げていただきたいとお願いし話を終えた。
 佃の講演の後、宇井忠英北海道大学名誉教授及び岡田 弘北海道大学名誉教授によるとても興味深い講演があった。宇井先生は米国やニュージーランドなどの火山地域のジオパークの模範となるような活動を多くの実例で紹介をされた。岡田先生からは、有珠山の火山活動についての明治以降の活動と大森房吉氏などによる研究史、昔から観光の対象として開発がされてきた歴史などが紹介された。その上で、火山防災のため、研究者(機関)、自治体、住民、マスコミと情報共有し、正しい知識を持って準備し、いざというときにちゃんと行動のできるメカニズムを持つことが大事であると強調され、そのためにジオパークを設立して活動することが大事であると述べられた。長年、有珠山の主治医として活動されてきた氏の経験に裏打ちされた非常に重みのある講演であった。
 会場には洞爺湖周辺地域エコミュージアム友の会の活動メンバーをはじめとする地域のボランティアグループの方々も多く参加され、熱心で活発な質問があったのが印象的であった。次の日には、壮瞥町教育委員会により郷土の勉強のため長年継続的に開催されている、小学生を対象とした有珠山登山学習に同行し、小学生に熱心に説明をする岡田先生のお姿を拝見し、有珠山の大自然のすばらしさとともに非常な感銘を受けた。
 この地域には、昭和新山のロープウエーと「火山村」を経営する民間会社「若狭リゾート(株)」の活動、三松正夫記念館(昭和新山資料館)を運営し自ら火山防災の伝道師をされている三松三朗さんの活動、北海道の防災・環境問題で活躍するNPO法人「環境防災総合政策研究機構」の活動、さらに壮瞥町役場の田鍋さんのような自治体において熱心にエコミュージアム構想を熱心に支えておられる人たちのネットワークがあり、ユネスコの支援する世界ジオパークネットワーク(GNN)への登録に非常に近いところにあると感じた。なお、洞爺湖周辺地域エコミュージアム推進協議会は昨年11月に設立され、「火の山」・「北の大地の歴史」にふれる自然博物館―火山の恵みを学び、自然があふれる大地にふれ、先人のあしあとを辿って― を理念として活動している。

* 日本地質学会ジオパーク設立推進委員会委員長・産総研地質調査総合センター代表

『日本列島ジオサイト―地質百選―』
(社)全国地質調査業協会連合会・(NPO)地質情報整備・活用機構(GUPI)共編
A5・並製200ページ・オールカラー・定価2,940円(内税),近日発行

PDFファイル(90KByte)も用意しました。 こちらからどうぞ