洞爺湖周辺地域エコミュージアム推進協議会主催による「ジオパーク構想と洞爺湖地域エコミュージアム」と題するフォーラムが、8月31日夜にこの夏に完成した環境省の洞爺湖ビジターセンターにおいて開催され、日本地質学会ジオパーク設立推進委員会として、ジオパーク活動の最近の動向などについて講演した。この講演に先立っては、中山
獏壮瞥町長、工藤圀夫豊浦町長、長崎良夫洞爺湖町町長、北海道胆振支庁、環境省自然環境局、北海道森林管理局の方々から、ジオパークへの期待をこめた挨拶があった。最近の活動として、多くの自治体関係者の参加を得て5月に行った地球惑星連合大会でのジオパーク特別セッションの開催、地質ニュースのジオパーク特集号の出版、「ジオパークとジオツーリズム」のパンフレットの作成など、最近の活動を紹介した。さらに、多くの関係者の関心の深い、ジオパークを設立するための必要な活動、手続き、などについても紹介した。最後に、来年の国連国際惑星地球年(IYPE2008)に同調して5月10日を「地質の日」とする活動も、「地質百選」との連携もとって、大いに盛り上げていただきたいとお願いし話を終えた。
佃の講演の後、宇井忠英北海道大学名誉教授及び岡田 弘北海道大学名誉教授によるとても興味深い講演があった。宇井先生は米国やニュージーランドなどの火山地域のジオパークの模範となるような活動を多くの実例で紹介をされた。岡田先生からは、有珠山の火山活動についての明治以降の活動と大森房吉氏などによる研究史、昔から観光の対象として開発がされてきた歴史などが紹介された。その上で、火山防災のため、研究者(機関)、自治体、住民、マスコミと情報共有し、正しい知識を持って準備し、いざというときにちゃんと行動のできるメカニズムを持つことが大事であると強調され、そのためにジオパークを設立して活動することが大事であると述べられた。長年、有珠山の主治医として活動されてきた氏の経験に裏打ちされた非常に重みのある講演であった。
会場には洞爺湖周辺地域エコミュージアム友の会の活動メンバーをはじめとする地域のボランティアグループの方々も多く参加され、熱心で活発な質問があったのが印象的であった。次の日には、壮瞥町教育委員会により郷土の勉強のため長年継続的に開催されている、小学生を対象とした有珠山登山学習に同行し、小学生に熱心に説明をする岡田先生のお姿を拝見し、有珠山の大自然のすばらしさとともに非常な感銘を受けた。
この地域には、昭和新山のロープウエーと「火山村」を経営する民間会社「若狭リゾート(株)」の活動、三松正夫記念館(昭和新山資料館)を運営し自ら火山防災の伝道師をされている三松三朗さんの活動、北海道の防災・環境問題で活躍するNPO法人「環境防災総合政策研究機構」の活動、さらに壮瞥町役場の田鍋さんのような自治体において熱心にエコミュージアム構想を熱心に支えておられる人たちのネットワークがあり、ユネスコの支援する世界ジオパークネットワーク(GNN)への登録に非常に近いところにあると感じた。なお、洞爺湖周辺地域エコミュージアム推進協議会は昨年11月に設立され、「火の山」・「北の大地の歴史」にふれる自然博物館―火山の恵みを学び、自然があふれる大地にふれ、先人のあしあとを辿って― を理念として活動している。
* 日本地質学会ジオパーク設立推進委員会委員長・産総研地質調査総合センター代表
『日本列島ジオサイト―地質百選―』
(社)全国地質調査業協会連合会・(NPO)地質情報整備・活用機構(GUPI)共編
A5・並製200ページ・オールカラー・定価2,940円(内税),近日発行 |
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